眼の病気のお話
お家のワンちゃん・ネコちゃんの眼 健康ですか?
眼は情報を得るのに大切な器官。眼にはさまざまな病気があり症状も多様です。眼の病気は気づかないうちに進行してしまうことも多く、予防や早期発見が大切です。
さまざまな眼の病気についてご紹介します。
眼について理解しましょう
眼球の前面は角膜で覆われ房水で満たされています。房水は栄養を運ぶとともに眼を球形に保つ働きをします。角膜から入ってきた光は虹彩でその量が調節され水晶体を通して網膜に像を結びます。その網膜の情報が視神経を通って脳に伝達され、映像として認識されます。
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- 流涙(りゅうるい)症
- 過量の涙が顔に流れおちる。
- 症状
- 涙があふれ出て目頭に涙ヤケができる。
- 原因
- 睫毛の異常やまぶたが内側に入り込み睫毛が眼を刺激して涙の分泌が過剰になったり、眼から鼻に涙を通す涙管がつまったりして起こる。
- 治療法
- 刺激している睫毛を抜いたり、涙管洗浄を行う。
まぶたの腫れをとる薬を服用しながら温湿布とマッサージを行う。
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- 結膜炎
- まぶたの裏にある膜(眼に病原体や異物の進入を防ぐ役割)に炎症が起こる。
- 症状
- 眼が充血してまぶしそうにする。目ヤニや涙が増え眼周囲の毛がぬれたり汚れたりする。痒みがあるので眼をこすったりひっかいたりする。重症になるとまぶたが腫れる。
- 原因
- 眼にほこりや異物が入ったり、細菌やウィルス感染、シャンプーなど化学薬品による刺激、アレルギーなどで起こる。
- 治療法
- 異物を取り除く。細菌やウィルス感染が原因の場合は抗生物質の目薬や眼軟膏。
シャンプーなど化学薬品が原因の場合は眼の洗浄。
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- 角膜炎
- 角膜(眼の表面を被っている膜)に炎症が起こる。
- 症状
- 激しい痛みと痒みを伴う。まぶたを何回もパチパチしたり、前足で眼をこすったり、こすりすぎて眼が腫れたり、涙がたくさん出る。重症になると角膜が白く濁り、さらに白く濁った角膜が盛り上がり角膜に潰瘍・腫瘍や傷ができたりする。傷が残って視力に問題が残ることもある。
- 原因
- ケガや眼に異物が入ったり、眼周りに炎症や痒みがあり自分で掻いて傷つけてしまったり、細菌の付着、結膜炎の悪化でも起こる。活動的なワンちゃんや鼻が短く眼の出ている犬種は注意。
- 治療法
- 異物を取り除き眼の洗浄。目薬や眼軟膏。
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- 乾燥性結膜炎(ドライアイ)
- 涙の量が少なくなり眼を保護出来なくなり結膜、角膜に炎症が起こる。
- 症状
- 眼に潤いがなく、角膜や結膜が乾燥し目ヤニが貯まる。痛みがありまぶたの痙攣が起こる。重症になると眼が腫れたり潰瘍ができ、視力が失われることもある。
- 原因
- 涙腺の先天的な欠乏、犬ジステンパー感染によって涙腺の機能障害、低血糖やホルモン欠乏などによって起こる。
- 治療法
- 人工涙液の点眼。涙の分泌機能を刺激する目薬や眼軟膏。
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- 白内障
- レンズの役割をする水晶体が白く濁る病気(眼が白く濁る病気がすべて白内障ではない)
- 症状
- 眼の奥、瞳の奥が白くなる。目が見えにくくなるためフラフラと歩行したり、何かに頻繁にぶつかったり、物音に強く反応したりする。
- 原因
- 水晶体は健康時には透明。その水晶体が何らかの原因で変質したり水晶体自体に異常が起き、白くなり視力が低下していく。先天性にみられる場合もあるが、多くは老化によるもので6~7歳以上に起こりやすい。年齢に関係なく糖尿病や中毒などによって起こるケースもある。
- 治療法
- 薬で水晶体の白い濁りを取り除くことはできないが進行を抑える。濁りがひどくなった場合、水晶体自体を取る手術もある。目がみえないことを考えて家の中の障害物を取り除き、安全を心がける。
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- 緑内症
- 眼球の前房を満たしている房水(眼球の大きさを保って眼圧を維持している液体)が増え、眼圧が高くなって起きる。
- 症状
- 緑内障になると瞳孔が開きっぱなしになり、眼の奥の組織がみえるようになるので眼の色が緑や赤色に見える。ものが見えにくくなり、目をしきりにこするようになる。眼が充血して、眼球が飛び出してくる。ひどくなると視野が狭くなったり視力が低下する。眼圧が高いままでいると視力を失うことがある。
- 原因
- 房水は隅角から排出されたり毛様体や虹彩で吸収されるが、隅角付近に異常があると排出されにくくなり、房水が増えて眼圧が高くなって起こる。眼の大きい小型犬種や高齢犬は注意。
- 治療法
- 房水を減らすため利尿剤で排出を促したり、薬で房水をつくり出すのを抑える。それでも眼圧が下がらない場合は手術が必要。
お家のワンちゃん・ネコちゃんが…
目ヤニや涙がでる。眼をかゆがる。眼をこする。光をまぶしがる。眼が白くなってきた。物にぶつかる。瞳の色が変。歩き方が変。……などの症状がみられる場合、「目ヤニの検査」「涙液量の検査」「角膜の検査」「水晶体の検査」「眼底検査」「眼圧検査」など、眼科検査を受けてみましょう。
眼の病気についても、日頃から仕草や様子を観察して、
変だなと感じたらお気軽にご相談ください。